清水 登之 しみず とし
尾道の景色 おのみちのけしき
昭和8 (1933)    油彩・カンヴァス  60.6×72.7㎝
 
千光寺山から浄土寺のある福山方面を描いた作品です。規則正しく整列する蔵屋敷と対岸の向島に停泊する船舶が見えます。遠景は沼隈半島です。尾道大橋建設前の珍しい作品です。 清水登之は、長い海外生活を経て帰国してからは、小旅行も含めて実によく旅をした画家でした。なかでも、広島県とは縁が深く度々訪れました。独立美術協会の講習会、大陸に渡る際の起点、長男育夫が海軍予備学生として呉に入営するなど、さまざまな形で広島に通ったそうです。
 
明治20(1887)年 栃木県下都賀郡国府村(現栃木市)に生まれる。
明治40(1907)年 横浜を出港、アメリカに向う。モンタナ州やワシントン州各地の農場などで働く。
大正元(1912)年 シアトルの画家フォッコ・タダマの画塾に入門する。
大正 6 (1917)年 ニューヨークに向けてシアトルを発つ。アート・スチューデント・リーグに通い始
め、翌年からジョン・スローンのクラスに通う。
大正8 (1919)年 帰国。翌年、再渡米。
大正13(1924)年 フランスへ向けてニューヨークを出港。(大正15年に帰国。)
大正14(1925)年 サロン・ドートンヌに「横浜夜景」「マドリッドの散歩道」が入選。
昭和4 (1929)年 第16回二科展で樗牛賞受賞。
昭和5 (1930)年 第17回二科展で二科賞受賞。独立美術協会の設立に参加する。
昭和20(1945)年 疎開先の生家で没する。